入進学希望の方へ
HOMEホーム入進学希望の方へ 臨床医学系について

臨床医学系について

臨床医学系の講義・実習は、主として、後期課程の後半3年間に行われる。臨床医学系には、内科学、小児科学、精神医学、外科学、脳神経外科学、形成外科学、小児外科学、整形外科学、産科学婦人科学、眼科学、泌尿器科学、耳鼻咽喉科学、皮膚科学、麻酔科学、放射線医学、口腔外科学、救急医学、リハビリテーション医学、臨床検査医学、医療情報学、輸血学、感染制御学などがある。将来医師となっていずれかの科目を専門とすることになっても、医学生としてはすべての科目を習得しなければならない。すべてが必修科目である。人間の病気を扱うには、人体のあらゆる部位の構造と機能、さらにその病態を知らなければならず、人間を1つの有機体として理解することが要請される。医学科の後期課程の4年という長い期間は、その要請に応えるための最低の条件である。

医学部を卒業し医師国家試験に合格すれば、法律的には医師としての資格が与えられることになるので、学部教育の意味は社会的にみてきわめて重要である。学部教育の目標は、病気の本態や治療の原理に関する科学としての知識や研究方法の原理を学ぶとともに、直接患者に接する教育を通して、医の倫理、医師としての義務と責任を体得し、また、病気の個人的、社会的意味を知り、卒業後の基礎医学や臨床医学、社会医学、医療行政など各方面での活動のための基礎とオリエンテーションを身につけることにある。しかし、実際問題としては、学部を卒業して医師の資格をとればすぐに一人前の臨床医や医学研究者として社会で活動できるわけでなく、そのためには卒後の長期にわたる研修が必要である。

臨床医学系の講義は、系統講義とよばれ、病気のおきる仕組みなどの基本的知識と診断・治療の原則などを広く理解するための講義である。4学年の初めから、まず内科・外科の系統講義が始まり、4学年後半から他の各科の系統講義が始まる。これらの系統講義は、4学年でほぼ終了する。4学年の終わりに、全国共通で行なわれる共用試験を受験する。共用試験は、コンピューターで受験者ごとに異なった多肢選択問題が提出されるComputerBasedTesting(CBT)と、模擬患者に医療面接や身体診察を行う客観的臨床技能試験(OSCE)とからなり、これらに合格することが臨床実習を開始する要件となっている。共用試験を合格したものには、ステューデントドクターの称号があたえられる。

実習は、4学年から始まる半年間の臨床診断学実習が最初にあり、医療面接・視診・打診・聴診・神経診察などを実習する。この中で医療面接実習は、模擬患者の協力を得て行なわれる。また、4学年の終わりには先述のOSCEがある。5学年より臨床実習(クリニカルクラークシップ)が始まる。小人数(6~7人)単位に分かれ、1~3週間の期間、それぞれの臨床科に配置される。病棟で入院患者を受け持ち、診察や診断、あるいは外科手術も含めた治療法を診療チームの一員として体験する。医学部は、本郷キャンパスに附属病院(東大病院)を持ち、一般診療から先端医療まで行う総合病院として社会に開かれた診療活動を行っている。東大病院は、臨床教育を行い優れた医療人を育成するために設けられた教育病院であり、診療を通しての教育や研究という大学が果たさねばならないミッションを有している。臨床実習は主として東大病院で行われるが、それ以外に多くの協力病院、医療施設も学生の臨床実習に関わっている。臨床実習にあたっては、病気に苦しんでいる患者との間に、ヒューマニズムに直接関わる重要な問題があることを十分に認識しておく必要がある。とくに、臨床実習は医学教育上の立場を理解し協力する患者の好意に立ってはじめて行われるものであることを知らねばならない。5年6年の間に2‐4ヶ月間、自由選択期間がある(エレクティブクラークシップ)。学生の希望によっては外部病院あるいは海外の病院で行うこともできる。このように現実の患者に接し、診断・治療の実際のプロセスを経験し、また患者との結び付きを多く持ち、疾病の経過や治療効果などを体得する。臨床実習は、医学教育のなかでも最も重視されるもので、これによって各種の疾病に関する知識を強化することのみならず、医師としての態度、技能をも身につける。これらの課程をすべて十分なレベルで修了することが卒業の要件となる。医学部医学科を卒業することは、医師となる最低限の資格ができたことを大学として認めたことを意味するので、単に学業成績のみならず、医師としてふさわしい人間かどうかも重要な判定の要素となる。