卒業後の進路

さまざまな分野で活躍する公共健康医学専攻の修了生

佐々木由紀

管理栄養士、ベンチャー企業代表取締役から入学、現在(株)リンクアンドコミュニケーション勤務

「まだ誰も見たことのない栄養の仕事を作る」-佐々木由樹さんは公共健康医学専攻修了後に、健康コミュニケーションアプリの開発、エビデンスに基づいた栄養士の研修など新しい仕事にチャレンジされ、2017年3月には日本栄養士会雑誌の表紙を飾りました。

井田 有亮

北海道医療大学大学院歯学研究科・博士課程修了を経て8期生1年コースに入学,東京大学医学部付属病院勤務

多職種・多彩なバックグラウンドを有する学生が同じテーマで講義を受け,それぞれが独自の意見を表明して濃厚な議論を交わすという場があります。数少ないそれの一つが東大SPHです。

専門性が高まれば高まるほど,各自のドメイン内での議論が中心になってしまうこれまでの医学・医療系の教育を受けてきた人にとっては,とても新鮮な感覚で毎日の講義を楽しく受けられる事は間違いないと思います。年々充実していく講義科目は,すでに卒業した私から見ても羨ましく思います。

私はSPH修了後,東京大学医学部附属病院の企画情報運営部で教員として働いています。院内の情報システムの企画・管理などの病院業務や,巨大なデータベースそのものである病院情報システムから得られるデータを用いた研究,そしてSPHの講義・実習など多忙な毎日です。政府の会議に参加することもあり,広い視点をもって医療を捉えるためのSPHで学んだ基礎知識がすぐに役立っております。歯科医師である私は白衣を着て診療することこそ無くなりましたが,常に医療の現場にコミットする臨床家の矜持をもって仕事に邁進しております。

湊夕起

マサチューセッツ州立大学・ホリスティックヘルス専攻を経て2期生2年コースに入学、現在世界保健機構勤務

家族の介護の体験で感じた「人が健康に生きるには?」という漠然とした疑問が、その後の海外生活で多種多様な文化や生活様式に触れた時、社会生活と健康との関係や、保健医療に関する社会のしくみへの興味につながりました。 学部では、『健康』をテーマに学術横断研究を試みましたが、その後、社会への働きかけ方をより具体的に模索するなかで、予防から生活の質にいたるまで、広範に人々の健康にアプローチができる公衆衛生に魅力を感じました。東大SPHでは、様々な健康問題の真実をどのように見、科学的な根拠に基づいて 判断するか、集団にアドバイスをするために信頼のおけるデータが必要であり、そのためには調査の質が大切となることなどを学びました。世界保健機構(World Health Organization)の ジュネーブ本部に勤務する今、対象となる集団の単位は国、複数の国をまたぐ地域、そして世界全体へと大きくなりましたが、SPHで得られた視点や考え方は日々の業務の土台になっていると感じています。世界規模で保健 プロジェクトを進める現場では、様々な立場のステークホルダーが交わり、目標の 共有や合意が難しい場面が多々ありますが、そのような国際的な討議の場で必要となる公正な視点や判断基準は、SPHでの学びによるものが大きいとも感じています。志を共有し尊敬し合う ことができる仲間に出会えたことも、東大SPHで得られた大きな財産です。