卒業後の進路
医学科卒業後の進路はいろいろである。大別すれば臨床医として研修を行うもの、基礎医学研究課程に進むもの、医療行政、国際医療協力あるいは医事管理などの分野に進むもの、の3つとなる。
臨床医を志すものが最も多く、この進路では医師国家試験を受験し、医師免許を取得したうえで大学附属病院をはじめ、一般市中病院において卒業後の臨床研修を開始する。卒後臨床研修は必修化されており、内科・救急・地域医療が必修科目、外科、小児科、産婦人科、精神科、麻酔科が選択必修科目となっている。2年間でさまざまな診療科においてさまざまな症例を体験することで、どのような状況においても、正しい対応ができるだけの基本的な診療能力を身につけることを目的としている。卒後臨床研修を行う病院はマッチングと言う全国統一システムで決定する制度になっている。東大病院では総合研修センターを設置し、優れた研修システムを整備している。疾患の多様性や診療知識、技術の進歩は昨今、日進月歩であることに鑑み、臨床医学における研究とあいまって医師たらんとするものは一生学び続ける心構えが必要である。基礎医学研究を志すものは次に多く、臨床医を経験した後に基礎医学研究に携わる者を加えると、これまで大まかに卒業生の約1割を数える。とはいえ近年は、基礎医学系教室における医学部出身者の割合は減少傾向であり、能力ある人材の参画は非常に歓迎される。様々な機会に研究能力が自らに備わっているかどうかを確認し、備わっていると感じたら積極的に参画してほしい。医学研究は常に多様な分野との融合により発展してきており、研究能力にはチャレンジ精神や実験技術のみならず、様々な背景の人材と交流するための多様な好奇心やコミュニケーション能力も含まれる。医学を学んだ者が基礎研究に携わる利点は、ヒトの全身を、形態・機能・分子など多様な側面から、メカニズムの解明・未解明にかかわらず、正常・異常にわたり学んだ経験、医学・医療における問題意識を学んだ経験など、他学部では得られない経験を身につけていることにある。これらは医学研究における研究計画の立案や、得られた研究成果の意味付けにおいて、大いに役立つ。この進路においても医師国家試験を受け、医師免許を取るのが普通であり、大学院に直進した場合でも後に臨床医師の卒後コースと交流することも可能である。 大学院への進学を希望する者は、大学院医学系研究科・医学部のホームページを参照の上、不明点等あれば医学部大学院担当まで問い合わせること。<問合せ先>
東京大学医学部大学院担当
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 TEL: 03-5841-3309 医療行政、国際医療協力、医事管理などに進むものは、社会医学系の講座の大学院に進学したり、厚生労働省、地方自治体その他に就職する。この場合でも、医師国家試験を受け、医師免許を取るのが一般的である。もし臨床経験を経ずにこの進路を選ぶ場合には、学生時代のうちに学内外で可能な限り診療現場を見て学んでおくと、より現場に有益な活動を行うことが可能となると思われる。 いずれの進路を取るにしても、医学部で学ぶこと・学べること、そして知り合うことのできたネットワークを最大限生かし、その後の人生に役立たせてほしいと考えている。