さまざまな分野で活躍する公共健康医学専攻の修了生
好井 優衣
(12期生2年コース 独立行政法人国際協力機構(JICA)人間開発部)

私は栄養学を通じて人々の健康に貢献したいという想いから、SPHに入学しました。SPHの2年間で学んだことは数えきれませんが、何より公衆衛生に携わる者としての責任感、倫理的姿勢、そして課題に立ち向かう心構えを学びました。さまざまな分野の第一人者の先生方による講義や研究指導を通じて、研究を通じて人々の健康を支えるという情熱、社会の動きや問題を的確に捉え分析する能力、そして研究対象となる集団の課題に敬意を持って向き合う姿勢を肌で感じました。医療分野での実務経験がない私にとって、多様な専門知識と経験を持つクラスメートとの議論は、大きな刺激になりました。現在は、栄養不良の問題解決をはじめ、誰もが健康に生活できるような体制の構築に貢献したいと思い、国際協力機構(JICA)でタイやラオスの保健セクターのプロジェクトを担当しています。日本に限らず、世界中どこの国でも、行政官や研究者による人々の健康を守りたいという熱い思いは共通しています。自分もその貢献の一助となれるよう、SPHで学んだ知識と経験を活かし、今後も精進したいと思います。
島田 裕平
14期生2年コース 東京大学大学院法学政治学研究科 博士課程

東大SPHの2年間は「長くて短いな」というのが修了した時の率直な感想です。「長い」というのは、潤沢に用意された資源を使って各自が活動に打ち込めるためです。法学部から進学した私は、統計や臨床についてゼロから(講義資料や周囲の厚いサポートに頼って)学習することに時間を割きました。同期生には、どんどん新しい統計手法を身につける人、企業や行政へインターンシップに行く人、人文社会系研究科などの他学部聴講へ行く人もいました。新型コロナ流行期には保健所支援などの社会活動に取り組む人も多かったです。「短い」と感じたのは、Public Healthという広がり続けるテーマについて、まだまだ学び足りないと思ったためです。しかし在学期間は短くとも、私たちSPHは修了後も繋がり続けています。例えば私は法学政治学研究科へ進学し医療政治学を研究していますが、韓国との比較研究のためにSPH卒業生としてソウル大学SPHに派遣していただきました。また、所属した研究室の繋がりから、災害医療研究に関連してDMAT事務局へのインタビューの機会を得たり、日本医学会を通じた医学研究評価の調査にも携わったりしました。ビジネス・行政・臨床・アカデミアへと広がるPublic Healthネットワークへ飛び込む上で、東大SPHは最高の入口だと思います。
北澤 由佳子
15期生2年コース 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED) 研究公正・業務推進部

もしここに「東大SPHに興味があるけれど自分には畑違いなのではないか…」と悩んでいる方がいらっしゃったら、どうか勇気をもって一歩踏み出してほしいと思います。私は法学部出身の海運会社社員という、まさに「畑違い」の人間でした(ここまで畑違いの人は稀有かもしれません…)が、医療倫理への関心と「皆が自分らしく幸せに生きられる社会を作りたい」との思いからSPHに入学しました。未知の世界で馴染みのない用語が飛び交う様子に最初は気圧されていましたが、そのような私を受け入れ、他と違うことをむしろ面白がってくれる環境がSPHにはありました。公衆衛生は、分野を飛び越えて生まれたアイデアや異なるバックグラウンドを持つ人たちの新鮮な意見を重視する、非常に学際的な学問です。一人ひとりの経験に独自の価値があり、それらが混ざり合うことで、SPHでの学びがより豊かになるのです。 修了後は、日本医療研究開発機構(AMED)において研究公正や患者市民参画(PPI, Patient and Public Involvement)の推進、研究開発におけるELSI(Ethical, Legal and Social Issues)対応を担当しています。SPHで身につけた医学系研究や医療倫理学の知識、そして公衆衛生全般の考え方が、そのまま活かされています。熱い想いをもった先生方と、高い志をもち好奇心旺盛な同期に囲まれて学んだ2年間が、私の人生を大きく転換させました。
重見 大介
11期生1年コース 産婦人科医、 株式会社Kids Public 共同代表

私は産婦人科医として10年以上診療に携わってきました。その中で、専門医という資格を取る前後くらいに「もっと科学的根拠をしっかり扱えて、論文を正しく読めて自身で研究もできるような医師になりたい」と思うようになり、色々と調べた結果、体系的に生物統計学や研究デザイン、疫学を学ぶことのできる公衆衛生大学院への進学を決めました。その大学院が、私の視点や価値観、その後のキャリアを大きく変えることになりました。 東大SPHでは、臨床研究の知識やスキルを学ぶだけでなく、クラスメイトや教員とのディスカッションを通じて「公衆衛生学的視点で見えてくる、女性の健康に関する社会課題」に目を向けられるようになりました。質の高い授業をしてくださった教員の先生方とクラスメイトには深く感謝しています。また、在学中に研究室に所属し、卒業前の研究発表会で発表した内容は、博士課程の初期に英語論文としてpublishすることができ、その後の研究活動の励みになりました。現在はSPHで学んだことや得た視点を活かし、ベンチャー企業の経営メンバーとして有益な仕組みの社会実装にも挑戦しています。 SPHへの進学を考えているのであれば、ぜひそのチャレンジを応援したいですし、「心の中にあるワクワク」を大事にしてほしいと思います。
足立 里穂
15期生2年コース Tufts University Friedman School of Nutrition Science and Policy, Doctoral program

学部で栄養学を専攻し、病院で管理栄養士として勤務した後、東大SPHに入学しました。おいしさを科学的に追求する学部のときの研究も面白く、病院の栄養指導で食事療法のサポートをすることもやりがいはありましたが、おいしいものを食べながら皆が自然と健康になれる社会をつくることはできないか?という疑問を持ったときに、公衆衛生学という学問に出会いました。東大SPHでは、日本の公衆衛生分野における課題を中心に、課題を解決するための考え方と技術を学びました。所属していた社会予防疫学分野では、協力してくださる方々から集められた食事等のデータが、クリーニングされ、解析され、論文として出版され、社会に還元されていくプロセスを経験することができました。知識を惜しみなく授けてくださる先生、いつも新しい視点を与えてくれる同期、同じ志をもつ研究仲間との出会いには感謝しきれません。現在はアメリカで博士号を取得するべく留学中です。世界には、日本の栄養課題と似ている課題も大きく異なる課題もあり、さらに視野が広がりました。引き続き、上記の疑問の解決策を探すため勉強・研究に励みたいと思います。多様なキャリアの選択肢のひとつとして、ぜひ東大SPHを検討してみてください。
