医学部概要
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東京大学大学院医学系研究科研究科長・医学部長からのご挨拶

医学系研究科長・医学部長 齊藤延人

大学院医学系研究科研究科長・医学部長
齊藤延人

東京大学医学部の歴史

東京大学医学部は、その起源を1858年の神田お玉が池種痘所の設立に遡り、約160年の歴史があります。これまで永きにわたり優秀な人材を多数輩出し、日本の医学・医療の発展に貢献し、近代医学教育を支えてきた歴史と伝統があります。設立に尽力した伊東玄朴は頭取となり、初代の頭取が大槻俊斎で、次いで緒方洪庵、松本良順と歴史上高名な蘭方医が頭取として種痘所を支えてきました。幕末から明治の初期にかけては、明治維新や文部省の設置、学制の布告などに伴い、場所や名称は変遷しましたが、1876年に東京医学校として本郷に移転してからは現在の地にあります。現在の医学部は、赤門から入って正面が医学部本館(2号館)で、その周囲に教育研究棟、医学図書館、医学部1〜5号館などがあります。龍岡門から続くバス通りをはさんで東側には医学部附属病院と臨床研究棟があります。

最近では、1995年〜1997年にかけて大学院講座制へ移行して組織を改組し、2004年には東京大学が法人化しました。それまでは昭和初期建築の古い研究棟や病棟を使用していましたが、2000年に新しい入院棟Aが稼働し、2005年に医学部教育研究棟が竣工しました。ここ数年は病院地区の再開発が進められ、2018年には新しい入院棟Bが稼働し、2019年に臨床系の研究室であるクリニカルリサーチセンターA棟が完成しました。改修工事が終了した南研究棟には「鉄門臨床講堂」もできました。また、工学系研究科や理学系研究科などの他学部にも開かれた全学の産学共同研究施設である「分子ライフイノベーション棟」も稼働しています。教育・研究・診療の環境が改善し、大きく飛躍するためのインフラが整いました。

医学部の組織と教育

医学部には医学科と健康総合科学科があります。その教育目的・理念は、「生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材を育成することにある。すなわち、これらの分野における問題の的確な把握と解決のために創造的研究を遂行し、臨床においては、その成果に基づいた全人的医療を実践しうる能力の涵養を目指す。」としています。

医学科

医学科は1学年の定員110名で、人体の仕組みや病気の発症機序を学び、医師免許を取得することを目指します。医学部に進学後の学年は、M1、M2、M3、M4と呼びます。医学部の授業は、大きく「基礎医学、「臨床医学」、「社会医学」に分類されます。まず、解剖学をはじめとした基礎医学や社会医学を学びます。病気を理解する上での基礎となる学問であるばかりでなく、将来研究者の道を目指す者にとっては、基礎医学やライフサイエンスへの興味を育む貴重な機会です。

M2から臨床系の講義と実習が始まります。最近の医学教育改革では参加型臨床実習が重要視されており、クリニカルクラークシップと呼ばれています。実習を開始するためには、知識と問題解決能力を問う全国共通の共用試験(CBT)と、診療の態度と技能を評価する試験「OSCE」に合格する必要があります。これらの試験に合格するとStudent doctor認定証が授与され、患者さんの前に出ることができるようになります。

また、リサーチマインドを持った学生の育成のために、Ph.D.-M.D.コース、MD研究者育成プログラム、臨床研究者育成プログラムなども用意しています。

健康総合科学科

健康総合科学科は1学年の定員44名で、病気の予防や、社会、環境との関係で疾患を考え、介護や健康の科学を創造することを学びます。分子・細胞・臓器レベルでの人間の生物学を学ぶ「環境生命科学」、社会格差や医療倫理など、社会との関係の中で健康課題を分析して疾病予防や健康増進につなげる「公共健康科学」、健康の増進・維持・回復を支援する看護援助を科学し実践する「看護科学」の3専修を設け、14の教室が学部教育担当しています。

大学院医学系研究科の組織と教育・研究

大学院医学系研究科には、生命現象のしくみの解明、疾病の克服および健康の増進に寄与する最先端研究を推進するとともに、医学系領域の各分野において卓越した学識と高度な独創的研究能力を有する国際的リーダーを養成するという教育研究の目的・理念があります。この目的・理念を実現するために、多くの研究室で医学や医療を国際的にリードするような最先端の研究を展開しています。学生もこれに参加するとともに次世代を担う研究者として刺激を与え合いながら学んでいます。

医学系研究科には、医学博士課程として、分子細胞生物学、機能生物学、病因・病理学、生体物理医学、脳神経医学、社会医学、内科学、生殖・発達・加齢医学、外科学の9の専攻があります。また、専門職学位課程として公共健康医学、博士後期課程および修士課程として健康科学・看護学、国際保健学があります。その他に医科学専攻修士課程があります。各専攻の下には多くの分野があり、高いレベルの研究を展開するとともに、学生は毎年 150-200 名が博士となって卒業しています。

むすびに

その他にも、医学部附属病院、疾患生命工学センター、医学教育国際研究センター、グローバルナーシングリサーチセンターなどの組織があり、研究や診療にあたっています。詳細については、それぞれHPページのリンクでご参照下さい。

東京大学医学部および大学院医学系研究科の学生や教員は、教育・研究・診療の成果を達成し、医学・医療界でのリーダーとなることを社会から期待されています。学生の皆さんには、高い理想と強い使命感を持って勉学に励み、サイエンスへの興味や医学の進歩への関心を育んで、優れた医師や医学者を目指して欲しいと思います。また同時に、病に苦しむ者、悩める者、社会の中で弱い者に、耳を傾け、共感する謙虚な気持ちと態度を大切にして、倫理観の高い人物に成長することを期待しています。

(2019年4月)