東京大学大学院医学系研究科 医科学専攻への誘い

 本学医学系研究科・医科学専攻・修士課程は、基礎医学研究を先導する未来のリーダーとなる人材を修士・博士課程の合計6年間をかけて育成することを目的に、平成11年度に設立されました。現代の医学研究において医学以外のバックグラウンドを持つ研究者が果たす役割はきわめて大きく、医科学専攻の教授・スタッフにも医学部以外の学部出身者が数多く含まれています。医学系研究科には博士課程から入学することももちろん可能ですが、修士の段階から系統的に医学知識を身につけ、大きく発展して欲しいという期待のもとに医科学専攻修士課程は設置されました。幸いにも、これまで非常に優秀な人材が本専攻に集い、巣立った後も様々な医学研究領域で将来を嘱望される若手研究者として活躍しています。

 本修士課程の特徴のひとつは、入学前に配属教室を決めておくことも、決めないで入学することもできるという柔軟性にあります。修士学生に対しては、医学系研究科、医学部全体の教官が協力して指導に当たります。配属教室を決めていない学生は、4月から7月にかけて医学各分野の講義と実習ならびに各研究室の内容の紹介を受けた後、8月までに配属を決めることになります。このシステムにはいくつかの長所があります。一つは最初から各講座に割り振られず一緒に講義実習を受けることで、修士学生間に連帯感が生まれることです。学生は各教室に分かれた後も、お互いに生活や研究の交流を活発に続けることができます。これは博士課程からでは得難い貴重な絆です。第二に、学生も教師もお互いをより身近で理解することが出来、その分、納得のいく教室選びが可能となります。各研究室に配属後も、週一回は共通ゼミナールがありますし、希望すれば他の分野の実習も可能です。学年によってはコンパだけでなく、合宿旅行まで楽しんでいます。

 現代の医科学、生命科学は多様性に富むと同時に奥深い領域です。分子構造・シグナル・発生などの基礎生物学から、病気の発症機序(病因)と治療、ゲノム医学、脳科学・予防医学などに至る幅広い分野をカバーしています。若いうちからあまり狭い研究領域に閉じこもるのは必ずしも賛成できません。研究分野を柔軟に変えうること、また、 周辺領域の幅広い知識を身につけることが大切です。医科学専攻は学生を未来の宝だと考えています。セミナー、輪読会、共通講義や共通実習などで 幅広い知識と、信頼しうる技術を身につけ、修士・博士の6年を終了した後に、どの様な分野に進むかを自らが決める自立した研究者になるための素地作りを誠心誠意サポートしたいと考えています。卒業後には、ポストドク、海外留学、研究職など多様な選択の道が拓かれます。

 医科学修士課程は、生命現象への好奇心にあふれ、協調性を持ち、気力・体力の充実した学生を求めています。自分が「将来の基礎医学を背負って立つ」姿を想像してみてください。そんな未来に魅せられる自分を見出すことができたならば、本修士課程に是非応募してください。

a