機能生物学専攻は、生理学講座の3研究分野(統合生理学、細胞分子生理学、神経生理学)、薬理学講座の2研究分野(細胞分子薬理学、分子神経生物学)、および疾患生命工学センターの1部門(構造生理学)から構成されています。この専攻における研究は知覚、認知、記憶、情動、運動などの生体機能を支える細胞、分子メカニズムを明らかにすることをめざしており、この目的を達成するために多面的なアプローチがなされています。この専攻の研究戦略のひとつの特色は神経の活動、シナプス電流などの現象やそれに付随する細胞内シグナル分子の変化をリアルアイムで解析することです。シナプス伝達は様々な刺激に応じて、あるいは動物の発達に伴って可塑的変化を遂げますが、「シナプス可塑性」はこの専攻の共通研究テーマのひとつです。霊長類からげっ歯類、ゼブラフィッシュにわたる実験動物においてin vivoと in vitroの両方向から 中枢神経回路、シナプス、細胞機能とそれらの調節分子機構の解析が行われています。これらの研究は近年開発されたfunctional MRI, 多光子励起顕微鏡、中枢スライスでのパッチクランプ記録、部位時期特異的遺伝子ノックアウトなどの強力な技術を駆使して行われております。
大学院生は週一回の講座輪読会の他、月一回の機能生物学専攻セミナーに出席し、専攻内外のスタッフによって提供される最新の話題を中心に討論に参加します。大学院生は講座主任教授、または年長の研究スタッフの指導のもとに、グループまたは単独で実験を行っています。多くの大学院生は研究成果を国内外の学会で発表し討論に加わっています。この専攻の教育目標は生理学・薬理学分野における国際的レベルの科学者を育てることであり、大学院生には高い研究意欲とチャレンジの精神が期待されています。