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細胞骨格構成因子の先天性変異がDNAメチル化異常症を引き起こす謎に迫る
~ 多遺伝子座インプリンティング異常症の発症メカニズム解明に光明 ~

東京大学 大学院医学系研究科 国際保健学専攻の鵜木元香准教授と、九州大学 生体防御医学研究所の佐々木裕之名誉教授・特別主幹教授らによる研究グループは、卵子の細胞骨格を構成する蛋白質(SCMC)の変異が、多遺伝子座インプリンティング異常症(MLID)を引き起こす分子メカニズムに迫る重要な発見をしました。

本研究ではDNAに付加されたメチル化修飾の維持に重要なUHRF1蛋白質の卵子における局在を模した細胞を作製する事で、SCMCの1つであるNLRP5が細胞質でも核でもUHRF1蛋白質を安定化する事を世界で初めて見出しました。この研究成果は、細胞質において安定化したUHRF1の一部が核内に移行する可能性を示唆しており、今後SCMC構成蛋白質をコードする遺伝子に変異を持つ女性が子供を希望する場合に、核置換法を用いて、卵子もしくは受精卵の細胞質を正常にする事で、細胞質のUHRF1が核内移行してインプリンティング制御領域(ICR)のメチル化を維持し、健康な子供を授かれる可能性を示唆しています。

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(2024/6/18)

日本人の子どもにおける超加工食品の摂取量と食事の質との関連

東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野の篠崎奈々助教、村上健太郎教授、佐々木敏東京大学名誉教授らの研究グループは、3~17歳の日本人1318人から得られた8日間にわたる詳細な食事記録データをもとに、超加工食品の摂取量を調査し、食事の質との関連を調べました。

食品加工は、世界の食料システムにおいて、食品の安全・安心・入手可能性の確保や食品廃棄物の削減など、極めて重要な役割を担っています。一方で、高度な加工を特徴とする超加工食品(例.ソーセージや菓子パン、清涼飲料など)は、脂質やナトリウムを多く含む一方で、たんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラル類の含有量が少ないため、多く食べることで食事全体の質が低下する可能性があります。また、最近の欧米諸国を中心としたレビューによると、超加工食品からのエネルギー摂取量は、小児や青少年などの若年層で高い傾向にあることがわかっています。

しかし、アジア圏における子どもの超加工食品摂取量に関する栄養学研究は少なく、日本人の子どもの超加工食品の摂取量や、食事の質との関連は明らかになっていません。そこで本研究では、日本人の子どもを対象とした全国規模の食事調査のデータを用いて、超加工食品の摂取量を調べ、食事の質との関連性を評価しました。

食事調査のデータとして、2016~2020年に日本の32都道府県に住む3~17歳の日本人1318人から得られた食事記録を使用しました。参加者やその保護者には、参加者が8日間(各季節に2日ずつ)にわたって食べたり飲んだりしたものを全て計量して記録してもらいました。そして、食事に記録されたすべての食品を、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者らが開発した食品分類の枠組みを用いて、加工レベルが低い順に「未加工/最小限の加工」「基本的な加工」「中程度の加工」「高度な加工(超加工食品)」の4段階に分類しました。食事の質は、Healthy Eating Index-2015(アメリカ人のための食事ガイドラインの順守の程度を測る指標)とNutrient-Rich Food Index 9.3(食事全体を栄養素密度の観点から評価する指標)の2つを使って評価しました。また、外食や惣菜などの家庭外で調理された料理を、①料理に含まれる個々の食材を個別に加工レベル別に分類する場合(超加工食品を少なく見積もるシナリオ)と、②すべて超加工食品に分類する場合(超加工食品を多く見積もるシナリオ)の2通りで食品分類を行ないました。

結果として、1日の総エネルギー摂取量に対して超加工食品が占める割合の平均値は、超加工食品を少なく見積もるシナリオでは27%で、多く見積もるシナリオでは44%でした。また、超加工食品からの総エネルギー摂取量に占める割合が最も大きい食品群は、超加工食品を少なく見積もるシナリオでは菓子類で、超加工食品を多く見積もるシナリオでは穀類・でんぷん質食品でした。食品分類のシナリオにかかわらず、超加工食品からエネルギーを多くとっている集団ほど、Healthy Eating Index-2015およびNutrient-Rich Food Index 9.3の総スコアが低い、すなわち食事の質が低いことがわかりました。

本研究は、日本人の子どもにおいて、超加工食品の摂取量を明らかにし、その食事の質との関連性を評価した初めての研究です。本研究の成果は、日本の公衆栄養政策を決定する上での重要な資料になるとともに、今後の超加工食品と関連する健康状態や疾病に関する研究の発展に寄与することが期待されます。

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(2024/6/14)

クローン性造血による拡張型心筋症患者の予後増悪を解明
~ 患者ゲノム解析および疾患モデルマウス解析の統合により病態機序を解明 ~

東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座の井上峻輔特任研究員、候聡志特任助教、野村征太郎特任准教授、小室一成特任教授と、同大学大学院医学系研究科血液・腫瘍病態学分野の黒川峰夫教授、同大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター動物資源学部門の饗場篤教授、同大学先端科学技術研究センターの油谷浩幸シニアリサーチフェロー(東京大学名誉教授)らによる研究グループは、拡張型心筋症患者のゲノム解析および疾患モデルマウスを活用した解析により、クローン性造血が患者の予後を増悪させることを明らかにすると共に、その病態機序の一端を解明しました。このことは、拡張型心筋症患者の予後予測をする上で有用であるだけでなく、今後、クローン性造血を標的とした新たな治療法の開発につながると期待されます。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2024/6/13)

BMI×ゲノムで2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度を向上
~ やせているのに糖尿病になりやすい体質 ~

大阪大学大学院医学系研究科の小嶋崇史さん(遺伝統計学 博士課程/東北大学大学院医学系研究科AIフロンティア新医療創生分野 特別研究学生/理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム 研修生/理化学研究所革新知能統合研究センター遺伝統計学チーム 研修生)、岡田随象教授(遺伝統計学/東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学 教授/理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム チームリーダー)、東京大学大学院医学系研究科の山内敏正教授、門脇孝東京大学名誉教授、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の田宮元教授(理化学研究所革新知能統合研究センター遺伝統計学チーム チームリーダー)らの共同研究グループは、体格指数(BMI)を使用することで2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度が向上することを発見しました。さらに、集団間の遺伝的な違いを補正できる機械学習手法を組み合わせることで、欧米人集団の豊富なゲノム情報を活用して、日本人集団に対する予測精度のさらなる向上を実現しました。 また、ゲノム解析により、2型糖尿病になりやすい遺伝的体質に関わるメカニズムを明らかにしました。

ゲノム全体の遺伝子変異から算出した2型糖尿病のポリジェニック・リスク・スコア(polygenic risk score;PRS)は、発症予測や予防に役立つ手段として臨床応用が期待されています。しかし、2型糖尿病が不均一な疾患であることや、ゲノム情報が多く集積している欧米人集団との遺伝的な違いによって、本邦における将来的なゲノム医療の質が低くなることが危惧されています。今回の研究成果は、2型糖尿病の遺伝的リスク予測制度を向上するとともに、将来的に、糖尿病予防や合併症予防といった個別化医療へ貢献することが期待されます。

この成果は、2024年6月11日(火)18時(日本時間)に米国科学雑誌Nature Geneticsにオンライン掲載されました。

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(2024/6/12)

思春期におけるインターネットの不適切使用が精神病症状および抑うつのリスクを高めることを確認

東京都医学総合研究所(所在地:東京都世田谷区、理事長:田中啓二)社会健康医学研究センター 西田淳志 センター長と国立精神・神経医療研究センター(所在地:東京都小平市、理事長:中込和幸)精神保健研究所 成田瑞 室長、東京大学(所在地:東京都文京区、総長:藤井輝夫)大学院医学系研究科 笠井清登 教授(同大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)主任研究者)、安藤俊太郎 准教授らの研究グループは、思春期におけるインターネットの不適切使用が精神病症状(幻覚や妄想のような体験)および抑うつといったメンタルヘルス不調のリスクを高めることを確認しました。さらに、インターネットの不適切使用による抑うつのリスクは女性の方が大きいこと、また、精神病症状のリスク上昇は社会的ひきこもりを介して起こることも示唆されました。

ここでいう不適切使用とは、インターネット使用によりイライラする、学業・家族や友人関係・睡眠などに支障が出る、時間を使い過ぎる、使い始めるとやめられない、他の人と過ごすよりインターネットを好む、周囲の人間から見て使用時間を減らした方が良い、などの状態を指します(インターネット使用そのものがリスクを高める、という結果ではありません)。インターネットは現代の生活に欠かせないツールですが、このような関わり方を続けた場合はメンタルヘルス不調のリスクを高めることが因果関係を検証できる厳密なデータ解析で示されました。メンタルヘルス不調を経験する前に使用を控えるよう、親や学校など周囲の大人がこのようなリスクを認識し、適切なサポートを提供する、などの対策が重要と考えられます。

本研究成果は『Schizophrenia Bulletin』に日本時間2024年6月3日にオンライン出版されました。

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(2024/6/11)

オートファゴソーム完成の目印は電荷の変化
~ オートファゴソーム膜の静電的成熟機構の発見 ~

東京大学大学院医学系研究科の水島昇教授らの研究グループは、オートファジーを実行するオルガネラであるオートファゴソームと分解酵素を含んだリソソームとの融合の仕組みの一端を明らかにしました。リソソームは完成(閉鎖)したオートファゴソームと融合します。リソソームとの融合に必要な因子であるシンタキシン17は、閉鎖したオートファゴソームにだけ呼び寄せられることがすでに知られています。しかし、シンタキシン17がどのようにして未完成(未閉鎖)オートファゴソームと完成オートファゴソームを見分けているかは不明でした。今回、シンタキシン17はカルボキシ末端領域に正電荷アミノ酸を多数持ち、この正電荷アミノ酸がシンタキシン17のオートファゴソームへの局在に必要であること、シンタキシン17は負電荷脂質膜を嗜好することを見出しました。そこで、実際にオートファゴソーム膜が負電荷を持っているかどうかを調べたところ、オートファゴソームの形成後期に膜が強い負電荷を帯びることがわかりました。さらに、この負電荷は負電荷脂質であるホスファチジルイノシトール4-リン酸(PI4P)の蓄積によることが示唆されました。また、シンタキシン17のオートファゴソーム膜への局在がオートファゴソーム膜上のPI4Pの量によって制御されうることを試験管内実験と分子動力学シミュレーションによって明らかにしました。以上の結果から、細胞はオートファゴソームの完成をその膜の電荷変化によって認識していることが示唆されました。本研究結果は、細胞小器官の膜電荷の経時変化がその機能を変化させるという概念を提唱するものであり、この概念はその他の細胞内構造体についても当てはまる可能性が期待されます。本研究成果は、6月4日に国際科学誌「eLife」に最終版(Version of Record)として掲載されました。

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(2024/6/4)

心不全の再発と多病のメカニズムを同定
~ ストレスが血液に蓄積する ~

東京大学大学院医学系研究科の藤生克仁特任教授と、小室一成特任教授(国際医療福祉大学副学長兼任)、千葉大学大学院医学研究院の眞鍋一郎教授らによる研究グループは、「心不全がなぜ再発するのか」を明らかにしました。

本研究では、心不全の臨床経過の特徴である「一度心不全を発症すると、入退院を繰り返す」「他の病気にも影響する」という点に着目し、「心不全になると、そのストレスがどこかに蓄積する」と仮説を立てて研究を行いました。その結果、心不全になった際にストレスが骨の中にある造血幹細胞に蓄積することを見いだしました。造血幹細胞は、心臓に対して心臓を保護する免疫細胞を供給しますが、ストレスが蓄積している造血幹細胞はその保護的な免疫細胞を作り出すことができず、これが心臓の機能悪化を引き起こし、再発しやすい原因となることが分かりました。

現在不治の病である心不全に対して、ストレスの蓄積を除去する方法の開発などによって新規予防法、治療法につながることが期待できます。

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(2024/5/27)

メガリンの立体構造とリガンド結合様式を解明
~ 腎臓病の新たな創薬に向けて ~

新潟大学大学院医歯学総合研究科の斎藤亮彦特任教授、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の西澤知宏教授、東京大学大学院医学系研究科の吉川雅英教授、東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の津本浩平教授、東京大学大学院工学系研究科附属医療福祉工学開発評価研究センターの長門石曉准教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡法や分子間相互作用解析法などを用いて、腎近位尿細管細胞に発現するタンパク質、メガリンの立体構造と多様なリガンド結合様式を解明しました。メガリンは、近位尿細管細胞が様々な物質を取り込み、代謝する機能において中心的な役割を担う分子であり、腎臓病を引き起こす腎毒性物質の「入り口」にもなっています。本研究は、腎臓の生理的な代謝メカニズムの解明とともに、メガリンを介して腎毒性物質が腎臓に取り込まれることを阻害する薬剤の開発に役立つことが期待されます。

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(2024/5/24)

脂肪肝病理画像から発がんを予測するAIモデル
~ 暗黙知が解き明かす肝がんのサイン ~

東京大学医学部附属病院 消化器内科の中塚拓馬 助教、検査部の佐藤雅哉 講師(消化器内科医)、同大 大学院医学系研究科 消化器内科学の建石良介 准教授、藤城光弘 教授、小池和彦 東京大学名誉教授らの研究グループは、日本アイ・ビー・エム株式会社 コンサルティング事業本部 橋爪夏香、鎌田亜美、米澤翔、壁谷佳典の協力の下、脂肪肝デジタル病理画像の深層学習によって、脂肪肝からの肝がん発症リスクを予測する新しいAIモデルを構築しました。

脂肪性肝疾患(SLD: Steatotic liver disease)は、肥満人口の増加に伴い、世界中で問題となっています。近年では人口の約3割が脂肪肝を有すると言われ、その中から肝がんの発症リスクの高い患者を特定することが重要な課題となっています。

本研究では、脂肪肝肝生検標本のデジタル病理画像を深層学習し、肝がん発症リスクを予測する人工知能(AI)モデルを構築しました。肝線維化は、肝がん発症リスクの最も重要な指標とされていますが、SLDにおいては線維化が進展していない状態においても肝がんを発症するケースが頻繁に報告されています。本AIモデルは、非がん組織における細胞異型、核細胞質比の上昇、炎症細胞浸潤、大型脂肪滴の消失といった、これまで注目されていなかった微細な病理所見を認識することにより、線維化が進行していない症例からの肝がん発症予測を可能としました。

今回の研究結果は、脂肪肝から発症する肝がんの早期発見を可能とし、脂肪肝病理所見と肝がんリスク評価に新たな視点を提供することが期待されます。本研究成果は5月20日(現地時間)に学術誌「Hepatology」オンライン版にて発表されました。

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(2024/5/23)

血液バイオマーカーを用いて、超早期段階での脳アミロイドPET検査結果の予測を実現
~ アルツハイマー病の早期診断と治療に光 ~

東京大学大学院医学系研究科の新美芳樹特任准教授、岩坪威教授らのグループは、J-TRCコホート研究参加者の血液を対象として、血漿アミロイドβ(Aβ)とスレオニン217リン酸化タウ(p-tau217)を測定し、これらを組み合わせることにより、アルツハイマー病(AD)の脳に生じる最も重要な変化であるAβの蓄積を診断するPET画像検査の結果を、超早期の段階において、これまでにない高い効率で予測することに成功しました。抗Aβ抗体薬を用いたADの治療がレカネマブなどを用いて始まり、脳内のAβ蓄積を正確に評価する必要性が高まっています。しかし、アミロイドPET検査や脳脊髄液Aβ測定などの現在用いられている検査法には、費用や利便・侵襲性などの面で多くの課題が残されています。近年、血液を用いてAD脳の病理変化を診断する手法の開発が進んでおり、その有用性が報告され始めています。しかしこれまでの検討では、人種間差の有無や、特に日本人での有用性に関する大規模なデータはほとんど得られていませんでした。

ADの早期・無症候段階にあたるプレクリニカル期ADや軽度認知障害(MCI)に相当するプロドローマル期において得られた本研究の成果により、今後ADの早期段階での適時適切な診断と、予防・治療への途が開かれるものと期待されます。

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(2024/5/23)

週1回のグリコアルブミン測定×アプリが2型糖尿病を持つ方の血糖管理を改善
~ 低/非侵襲・低コスト・分かりやすい次世代自己血糖モニタリング法の確立へ ~

医療法人社団 陣内会 陣内病院の陣内秀昭院長、東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科の相原允一助教、熊本大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科(大学院生命科学研究部)の窪田直人教授、東京大学発医工連携スタートアップである株式会社Provigateの関水康伸代表取締役CEOらによる研究グループは、週に1回の在宅グリコアルブミン(GA)検査と行動変容アプリを併用することで、2型糖尿病のある方の血糖値や体重などが有意に改善することを見出しました。

グリコアルブミン(GA)値は過去1週間程度の平均血糖値の変化に応じて鋭敏に変化すると期待されます。そのため、週1回GA値を測定すれば、直近1週間程度の食事、運動、服薬など血糖値に影響する生活習慣の変化を、GA値の変化として簡単に数値化できると考えられます。しかし、在宅でGA値を測定し行動変容に活かす研究はこれまでに報告がありませんでした。

今回の成果を受けて、研究チームはより手軽で侵襲性の低い在宅迅速検査(POCT)法や唾液による郵送検査法の研究開発、及び専用の行動変容アプリの改良も進めています。これらは、将来的により良い糖尿病治療の実現につながることが期待されます。

本研究成果は、5月16日(中央ヨーロッパ時間)にDiabetes Therapy誌のオンライン版で掲載されました。

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(2024/5/17)

飯野正光名誉教授が瑞宝中綬章を受章

このたび、飯野正光名誉教授が本年春の叙勲にて瑞宝中綬章を受章されました。

飯野先生は、長年にわたって薬理学研究に努めてこられました。とりわけ、細胞内カルシウムシグナル機構において、独創的かつ先駆的な研究を行い、その基本機構の解明から病態の理解に至る大きな功績を挙げてこられました。また、学会、審議会において要職を歴任して学術界および医療の発展にも大きく寄与されました。

細胞内のカルシウムイオン濃度の変化は、筋収縮、受精、代謝、免疫、神経機能調節などの機能に重要であり、カルシウムシグナルと呼ばれます。細胞内小器官である小胞体からのカルシウム放出はその形成に重要な役割を果たしますが、飯野先生は「自己再生産的カルシウム放出」を提唱し、放出されたカルシウムがさらに活性を強めることを明らかにしました。この機構がカルシウム振動など複雑な動態を形成することを実証し、この研究は世界標準の生物学教科書にも記載されています。また、顕微鏡を使ったカルシウムシグナルの可視化法を次々に開発され、カルシウムシグナル研究に大きな影響を与えました。さらに脳におけるカルシウムシグナルの未知機能を探求し、シナプス機能の維持や脳傷害に伴う神経細胞死における新たな役割を発見されました。これらの知見は、新たな創薬ターゲットの発見に繋がると期待されています。これらの優れた業績に対し、1989年日本薬理学会学術奨励賞、2009年上原賞、2012年日本薬理学会江橋節郎賞、2017年春の紫綬褒章、2019年度東レ科学技術賞を受けられております。

先生は薬理学の教育にも長年従事し多数の学生を教育し、後進の育成に努められてきました。学会活動では、公益社団法人日本薬理学会の理事、年会長、理事長を歴任し、薬理学分野の発展に大きな貢献をされてきました。国際薬理学連合(IUPHAR)の次席副会長を務められ、学術的国際連携および日本の学術の国際的プレゼンスを高めることに尽くされました。さらに、日本医学会副会長及び日本医学会連合副会長を務められ、医学界全般に関連する課題に対応するとともに、厚生労働省及びこども家庭庁の審議会専門委員を務めて医療倫理に関する行政にも貢献されました。

このたびの受章を心よりお祝い申し上げますとともに、先生のご健勝と益々のご活躍をお祈りいたします。

(大学院医学系研究科・医学部 廣瀬謙造)

(2024/5/14)

日本人成人における食事場面の特性と食事の栄養学的質との関連

東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野の篠崎奈々助教、村上健太郎教授、佐々木敏東京大学名誉教授らの研究グループは、30~76歳の日本人222人を対象に詳細な食事記録調査を行ない、食事の種類(朝食、昼食、夕食)、同席者の有無および食事場所が食事の栄養学的質と関連していることを明らかにしました。

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(2024/5/10)

女性医師による治療は女性患者で有益
~ 大規模医療データを用いた自然実験 ~

東京大学大学院医学系研究科の宮脇敦士特任講師、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介准教授らによる共同研究チームは、女性医師に治療された患者の方が、男性医師に治療された患者よりも死亡率や再入院率が低い傾向にある一方で、女性医師の治療によるメリットは、女性患者の方が男性患者よりも大きいことを明らかにしました。因果関係にせまることのできる「自然実験」を用いた、米国の高齢者77万人以上の入院データの分析の結果です。米国でも日本と同様に、女性医師はいまだ少数派で、女性患者が女性医師に診てもらう機会は不足しています。本研究は、このような医師の男女比率のアンバランスが女性患者の健康に不利に働いていることを示しており、医療現場の女性医師の割合を増やすことで患者の予後が改善する可能性を示唆しています。

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(2024/4/23)

加齢黄斑変性の前駆病変が発生するしくみを発見
~ 加齢黄斑変性予防に対する新たな治療確立に期待 ~

東京大学医学部附属病院眼科の寺尾亮助教と、ワシントン大学セントルイス医学部眼科のRajendra S. Apte教授(兼 ワシントン大学セントルイス マクドネル学術大使、慶應義塾大学グローバル教授)らによる研究グループは、AMDの前駆病変(前兆として現れる変化)のひとつである網膜下ドルーゼノイド沈着(Subretinal drusenoid deposit)を発症する遺伝子改変マウスを用いて、AMD前駆病変が生じるしくみを明らかにしました。

この研究によって、NAD+の枯渇がマクロファージの細胞老化を引き起こし、その結果として網膜下ドルーゼノイド沈着が発生することが判明しました。また、老化細胞除去治療やNAD+補填療法がAMD前駆病変の出現を抑えることを明らかにしました。AMD前駆病変が発生するしくみについて遺伝子改変マウスを用いて詳しく研究されたのは本研究が初めてです。この研究成果が今後AMD前駆病変に対する治療として展開され、AMD予防のための治療法確立につながることが期待されます。

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(2024/4/18)

新規胃癌発生メカニズムを解明
~ そんなバナナ?な新治療の開発へ ~

東京大学医学部附属病院 消化器内科 新井絢也 医師、早河翼 講師、藤城光弘 教授と、国立研究開発法人産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門 多細胞システム制御研究グループ 舘野浩章 研究グループ長らによる研究グループは、ムチン(粘液)の一種であるMUC6の喪失が直接胃癌の発生を引き起こすことを明らかにしました。

本研究では独自に作成したMUC6ノックアウトマウス(以下MUC6KOマウス)を用いて、MUC6喪失により胃癌が自然に発生することを見出し、その発癌経路としてゴルジ体のストレスを介したGOLPH3遺伝子-MAPK経路の活性化を同定し、それに付随してマンノース異常糖鎖が高発現となることを世界で初めて示しました。

元来ムチン形質変化は発癌に付随して変化した結果と考えられてきましたが、今回MUC6喪失自体により直接胃癌が発生することを示したことは新しい胃癌発生メカニズムの発見として重要な意味があり、この研究成果は今後そのほかのムチン形質変化による多種多様な疾患への関与の解析につながることが期待されます。

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(2024/4/11)