新着情報
HOMEホーム新着情報 広報・プレスリリース最新情報

広報・プレスリリース最新情報(2018年(平成30年))

一般一般向け情報   学内学内向け情報   プレス広報・プレス情報

軽度認知障害における認知機能低下の加速因子を同定

J-ADNI研究では、234名のものわすれを主体とする軽度認知障害の被験者の認知機能を、最長3年間追跡しました。そのなかで、認知機能の低下に関与する要素を様々な角度から検討し、性差、教育歴がその進行に対して影響をもつことを見いだしました。女性の軽度認知障害被験者の認知機能は男性に比べて速く悪化しました。教育年数の長い男性の被験者では悪化は緩徐でした。軽度認知障害の背景にはアルツハイマー病以外の疾患も含まれますが、J-ADNI研究で女性が早く悪化する原因は、アルツハイマー病の方が多く含まれていたためではありませんでした。女性の軽度認知障害の方が悪化し易い要因として、慢性腎臓病のグレードが高いことが見出されました。その理由として、長年の高血圧や動脈硬化によって脳の小血管の障害を来たすことが、認知機能障害の進行に関係することを想定しました。

PDFリリース文書[PDF:276KB](東大病院HP掲載)

(2018/7/17)

学校給食が野菜・果物摂取量の格差を9.9%・3.4%縮小

東京大学大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野 近藤尚己准教授らは、首都圏に住む小学生(4都市)719人を対象に、家庭の社会経済状況と子どもの野菜・果物摂取量の関連を分析しました。その結果、家庭の社会経済状況によって野菜摂取量と果物摂取量に違いがあることが明らかになりました。しかし、学校給食からの野菜・果物摂取量には差が見られませんでした。このことから、児童全員を対象とした日本の学校給食制度が、家庭の社会経済状況の違いによる野菜・果物摂取量格差を縮小する可能性が示唆されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 197KB]をご覧下さい。

(2018/7/13)

分子モーターたんぱく質KIF21Bによる恐怖記憶の制御機構の解明

恐怖の記憶消去の異常は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに重要な役割を演じているが、そのメカニズムはほとんど明らかになっていなかった。

東京大学大学院医学系研究科分子構造・動態・病態学講座の廣川信隆特任教授、細胞構築学分野の田中庸介講師、分子構造・動態・病態学講座の森川桃特任研究員らは、KIF21B分子モーターがシナプスの構造を制御するRac1タンパク質の制御分子ELMO1複合体をダイナミックに輸送してRac1タンパク質の「活性サイクル」を終結させ、シナプス伝達効率の「長期抑圧」を通して恐怖記憶が消去されることを解明した。 本研究チームがKif21b遺伝子を欠損したノックアウトマウスを開発したところ、Rac1タンパク質の活性化が長く持続し、場所につながる恐怖の記憶がほとんど消去できないPTSD様の症状を示した。 そこで、このノックアウトマウスにELMO1複合体の阻害剤CPYPPを投与してみると、野生型マウスとまったく同じように恐怖記憶を消去できるようになった。 この研究により、キネシン分子モーターのかかわるシナプス可塑性の新しい分子機構が解明されたことは、記憶の書き換え障害が関与するPTSD等の難治性精神疾患の治療に道を開くものである。

本研究成果は、「Cell Reports」で公開されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 674KB]をご覧下さい。

(2018/6/27)

がん細胞のDNA修復能力を規定する新しい因子の発見

DNA修復能力の異常はがんの代表的な特徴ですが、どのようなメカニズムでその異常が引き起こされるかについては、まだ十分に明らかになっていません。

このたび、東京大学大学院医学系研究科の細谷紀子講師と宮川清教授らの研究グループは、生殖細胞関連タンパク質SYCE2が、体細胞でDNAが存在する細胞核内の環境を変化させることにより細胞のDNA修復能力を増加させることを発見しました。 SYCE2は生殖において大切なはたらきをする一方、正常体細胞では殆ど存在しませんが、がん細胞では増えることが多く、いわゆる「がん精巣抗原」と呼ばれることになります。 今回、そのがんにおけるはたらきを初めて示したことになり、今後このような現象を狙った新しいがん治療の開発が期待されます。

本研究成果は、EMBO、Rockefeller University、Cold Spring Harbor Laboratoryにより創刊された生命科学系オープンアクセス学術誌「Life Science Alliance」に2018年6月22日に掲載されました。 なお、本研究は、文部科学省新学術領域研究「動的クロマチン構造と機能」、日本学術振興会科学研究費補助金などの支援を受けて行われました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 167KB]をご覧下さい。

(2018/6/25)

ゼブラフィッシュのべん毛の構造解析から軸糸ダイニン構築メカニズムの一端を解明
  ~ 繊毛・べん毛の解析手法として新たな脊椎動物モデルを開発 ~

JST 戦略的創造研究推進事業において、東京大学 大学院医学系研究科の吉川 雅英 教授と同大学院理学系研究科の武田 洋幸 教授らは、遺伝子操作を行ったゼブラフィッシュの精子べん毛について、はじめてクライオ電子顕微鏡法を用いた微細構造解析を行い、軸糸ダイニン構築メカニズムの一端を明らかにしました。

繊毛、べん毛は単細胞生物から我々ヒトまで共通して存在する細胞小器官であり、精子の運動や、気管粘膜についたゴミの除去など、ヒトでも重要な役割を持っています。 従来、繊毛、べん毛の構造解析にはクラミドモナスなどの単細胞生物や、ウニなどの無脊椎動物が主に利用されてきました。 しかし、ヒトの繊毛、べん毛疾患(繊毛病)との関連から、よりヒトと遺伝子機能の共通性が高い、脊椎動物のモデル生物の開発も求められていました。

本研究グループは、実験動物としてすでに広く利用されている小型魚類ゼブラフィッシュに着目しました。ゼブラフィッシュはCRISPR/Cas9を用いた遺伝子操作技術が確立されており、また精子の採集が容易であるという点で、繊毛、べん毛の脊椎動物モデルとして優れた特徴を有しています。

本研究では、繊毛病の原因遺伝子であるKTU、PIH1D3と、そのたんぱく質ファミリー遺伝子(PIH1D1、PIH1D2)についてゼブラフィッシュの変異体を作製し、クライオ電子顕微鏡法を用いて精子べん毛の微細構造を解析しました。 その結果、変異体では繊毛、鞭毛のモーター分子である軸糸ダイニンの構築ができなくなり、精子の運動に異常が生じることを明らかにしました。

本研究から、新たにPIH1D1、PIH1D2の2つの遺伝子が、その機能とともに繊毛病の原因遺伝子として示唆されました。 脊椎動物モデルを使用した本成果は、繊毛病が生じるメカニズムを解明する上で、今後の研究に役立つ知見になると期待されます。

本研究成果は、2018年6月19日(英国時間)に国際科学誌「eLife」のオンライン版で公開されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 527KB]をご覧下さい。

(2018/6/19)

胚が子宮内膜に浸潤する着床のメカニズムを解明
  ~ 胚浸潤を可能にする子宮内膜の低酸素誘導因子HIF2αの作用 ~

着床障害は生殖医療の大きな課題となっていますが、有効な診断・治療法は確立していません。 着床は、子宮内に入ってきた胚が子宮内膜と接着する過程(胚接着)と、その後に胚が子宮内膜に入り込む過程(胚浸潤)を経て成立します。 着床の成立にはこれらの過程において子宮と胚の精妙な相互作用が必須と考えられてきましたが、その仕組みの詳細はこれまでわかっていませんでした。 東京大学医学部附属病院の廣田泰講師らは、遺伝子改変マウスを用いた研究を行い、低酸素で誘導される転写因子である低酸素誘導因子(HIF)が子宮内膜で作用して胚浸潤の過程を調節していること、子宮内膜間質のHIFが重要な働きを持っており、子宮内膜管腔上皮をはがして子宮内膜間質を露出させ胚が子宮内膜間質に入り込みやすくすると同時に、子宮内膜間質が胚とじかに接することによって胚が生存できるよう働きかけていることを明らかにしました。 この結果、子宮というブラックボックスのなかで起こる着床の仕組みが解明され、着床障害による不妊の一因が明らかとなりました。 今後ヒト子宮内膜におけるHIFの作用を検討することで、今回の研究が着床障害の新規診断・治療法の開発につながっていくことが期待されます。

PDFリリース文書[PDF:3.00MB](東大病院HP掲載)

(2018/6/19)

CTやMRIなどの医用画像を誰でも簡単に見ることができるモバイルアプリを無料リリース

東京大学医学部附属病院脳神経外科(教授:齊藤延人)の金太一助教の研究グループは、スマートフォンやタブレットコンピュータでCTやMRI、レントゲンX線検査など医用画像を手軽に閲覧できるアプリケーションを開発しました。

医用画像は一般の方には馴染みの薄いものです。自分自身の画像であってもじっくり見る機会もツールもありません。また、医師や医療従事者、医学生、研究者であっても、画像を見るためには難解な操作を要するソフトウェアを使用しなければなりません。しかし本アプリによって、これまで敷居の高かった医用画像情報が広く社会に行きわたり、一般の方の医学的知識の啓発や医用情報の正確な共有化、および医用研究開発の促進が期待されます。また、どこでも簡単に閲覧できることによって、遠隔医療、災害地や医療過疎地での医療の質の向上につながることが期待されます。

本アプリは2018年6月12日に株式会社Kompathから無料でリリースされます(2018年6月12日時点ではiPhoneおよびiPadにのみ対応しており、その他のスマートフォンやタブレットコンピュータには対応していません)。データの取り込みはiTunes経由で簡単に行えます。

なお、本研究成果は、国立研究開発法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)「研究開発成果実装支援プログラム」 プロジェクト名「医師の高度な画像診断を支援するプログラムの実装」による成果の一部です。

PDFリリース文書[PDF:340KB](東大病院HP掲載)

(2018/6/12)

日本の給食が肥満を減らす

我が国は、思春期の肥満率が低いことが知られています。 低い肥満率の理由の1つとして、給食が挙げられてきました。 これは、日本の小中学校の給食では、適切な栄養基準のもとで提供された同じ食事をその学校の全員が食べているからです。 しかし、それを支持するエビデンスはありませんでした。

東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学の宮脇敦士(博士課程大学院生)、李廷秀(特任准教授)、小林廉毅(教授)のグループは、まず、政府統計の公開データから、「2006年から2015年の都道府県(以下、県)レベルの給食実施率」、および「県レベルの栄養状態の指標(過体重・肥満・やせの生徒の割合、平均身長、平均体重)」を性・年齢別に抽出しました。 解析方法としては、パネルデータ分析の手法を用い、前年の栄養状態の指標、県・年齢・観測年などを考慮した上で、前年の県レベルの給食実施率と翌年の栄養状態の指標の関連を調べました。

解析の結果、県レベルの給食実施率が10%増加すると、翌年の過体重の男子の割合は0.37%(95%信頼区間 0.18-0.56)、肥満の男子の割合は0.23%(同 0.10-0.37)低下していました。 一方で、女子については、過体重・肥満を減らす傾向が見られたものの、統計学的に有意な結果ではありませんでした。 また、やせの割合や県レベルの平均体重、平均身長については、統計学的に有意な効果は認められませんでした。

本研究の結果から、学校給食プログラムを介した、適切な栄養基準に基づいた食事の提供は、思春期の肥満を減らす有効な施策の1つであると示唆されました。 本研究成果は英国の国際学術誌「Journal of Public Health」(2018年6月5日オンライン版)に掲載されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 194KB]をご覧下さい。

(2018/6/7)

マルファン症候群の原因遺伝子FBN1の変異型が大動脈瘤・解離症の進展に及ぼす影響について

マルファン症候群は、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、大動脈(大動脈瘤や大動脈解離)や骨格(高身長・細く長い指・漏斗胸・側弯など)、眼(水晶体(レンズ)がずれる)、肺(気胸)などの多臓器に障害が発生する遺伝性疾患(常染色体優性遺伝)です。 マルファン症候群の患者の約90%以上でフィブリリン1(FBN1)遺伝子に変異があり、幼少期から大動脈の拡大(大動脈瘤)は年齢とともに進行しており、急性大動脈解離を発症すると生命予後や生活の質は著しく低下します。 そのため、大動脈瘤の進展速度を予測して対応することは、患者・家族にとって大変有益と考えられます。

東京大学医学部附属病院循環器内科の武田憲文助教(特任講師(病院))、小室一成教授、小児科の犬塚亮講師らは、日本人患者でのフィブリリン1の遺伝子型(種類)と主要な大血管障害(Stanford A型急性大動脈解離、大動脈基部置換術および関連死)の発症時期に関する実態調査を行い、比較的簡便な方法で、遺伝子異常を早発型(HI群とDN-CD群)と遅発型(DN-nonCD群)とに分類できることを明らかにしました。 本研究は、ゲノム情報などの個々人の違いを考慮して予防や治療を行う医療(プレシジョン医療)の推進に向けた成果であり、一生涯に渡って患者・家族が抱く強い不安や悩みを和らげるための情報を提供するのみならず、本症の治療法開発や病態生理の解明にも繋がる研究への発展が期待されます。

本研究は日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「マルファン症候群における長期多系統障害増悪機構の解明と新規薬物療法開発に向けた研究(研究代表者:武田憲文)」の支援により行われました。

PDFリリース文書[PDF:1.00MB](東大病院HP掲載)

(2018/6/4)

バストサイズや月経痛など女性特有の体質と関連の強い遺伝子領域を新たに発見!

東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座 大須賀穣教授ら、株式会社スタージェン 鎌谷直之らのグループは、株式会社エムティーアイの子会社である株式会社エバージーンの遺伝子解析サービスのプラットフォームを利用し、エムティーアイが運営する『ルナルナ』ユーザーの女性ボランティアの協力により得た11,348人の遺伝情報を用い、22の女性特異的な体質に関して、大規模なゲノムワイド関連解析を行いました。

11,348人、約54万SNPの遺伝子情報と体質に関するWEBアンケートの結果を用いて、GWASを行い、バストサイズや月経痛など女性特有の体質と関連の強い遺伝子領域をそれぞれ発見しました。

今後は本研究にて得られた結果をもとに、さらなる研究を進め遺伝因子および環境因子の全貌が明らかになることで、個人の体質に合わせた月経中の痛みや発熱などの改善への取り組みが可能となり、また、女性特有の体質とそれに関連する疾患との関係性が明らかになることで、一人ひとりに合った情報やアドバイス、疾患予防法の選択が可能になることが期待されます。

本研究成果は、日本時間5月31日にScientific Reportsにて発表されました。

PDFリリース文書[PDF:356KB](東大病院HP掲載)

(2018/6/1)

8Kスーパーハイビジョンカメラによって生きたマウスの脳活動を大規模に計測することに成功

東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻生理学講座細胞分子生理学分野の松崎政紀教授、吉田恵梨子大学院生、寺田晋一郎研究員、自然科学研究機構生理学研究所の小林憲太准教授、埼玉大学の中井淳一教授、大倉正道准教授らの共同研究チームは、従来のハイビジョンの16倍に当たる3300万画素を持つ8Kスーパーハイビジョンカメラを世界で初めて脳神経活動の計測に用いることで、運動中のマウス大脳皮質から、軸索終末とよばれる神経細胞の一部における活動を大規模に計測する事に成功しました。

脳の複雑な情報処理機構を明らかにするため、近年日・米・欧において脳機能の統合的理解を目指すプロジェクトがそれぞれ進行中ですが、詳細な脳活動の計測手法の開発はプロジェクト遂行において重要な位置づけにされています。 本研究成果は、脳内における微細構造からの脳活動計測の新たなる方向性を示したものであり、今後、脳全体の活動の計測に向けたさらなる発展に繋がります。 神経細胞の活動や細胞内の分子動態といった生命現象の高精細かつ高速な記録により、様々な疾患の理解とその治療法開発に貢献することが期待されます。

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度より文部科学省から移管)の一環として行われ、研究の成果はScientific Reports誌に掲載されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 359KB]をご覧下さい。

(2018/5/29)

日本人におけるレアバリアントの心筋梗塞発症への関与を解明
  ~ コレステロール値・発症年齢に大きく寄与する遺伝子変化 ~

東京大学大学院医学系研究科 循環器内科の森田啓行講師と小室一成教授、東京大学大学院医学系研究科 医学博士課程/理化学研究所生命医科学研究センター 研修生(研究当時) の田島知幸、理化学研究所生命医科学研究センター 循環器疾患研究チームの伊藤薫チームリーダーと基盤技術開発研究チームの桃沢幸秀チームリーダーは、大規模ヒトゲノム研究を行い、日本人における心筋梗塞発症と強く関係する遺伝子変化を明らかにしました。

心筋梗塞と関係するSNP(一塩基多型)に関してはこれまでにも多くの報告がありますが、それらが単独で臨床所見に与える影響は小さく臨床的有用性は未だ明らかになっていません。今回発見された遺伝要因は、SNPよりも頻度は低いもののインパクトはより大きな遺伝子変化「レアバリアント」(一般人口の5%未満に分布)です。

2つの脂質関連遺伝子LDLRおよびPCSK9に起こるこの遺伝子変化は単独で血液中のLDLコレステロール値を規定し、心筋梗塞発症リスク、さらには心筋梗塞発症年齢にも影響を及ぼします。脂質異常症と関連するLDLRおよびPCSK9のレアバリアントを有する個人を血中脂質上昇前の早期に割り出すことにより、特にその個人を対象に積極的脂質降下療法を開始し将来の心筋梗塞発症を抑えることが可能となります。今回の知見は、近未来のゲノムガイド精密医療開発に大いに貢献すると考えられます。

本研究成果は、日本時間5月25日にScientific Reportsにて発表されました。なお本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)オーダーメイド医療の実現プログラム「疾患関連遺伝子等の探索を効率化するための遺伝子多型情報の高度化」(研究代表者:久保 充明 理化学研究所統合生命医科学研究センター・副センター長)等の支援を受けて行われました。

PDFリリース文書[PDF:364KB](東大病院HP掲載)

(2018/5/28)

霊長類の大脳皮質で運動課題中の多細胞活動を2光子カルシウムイメージングで長期間・同時計測することに成功

東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻生理学講座細胞分子生理学分野の松崎政紀教授、蝦名鉄平助教、正水芳人助教、川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科の彦坂和雄教授、自治医科大学分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部の水上浩明教授、自然科学研究機構生理学研究所生体システム研究部門の南部篤教授、実験動物中央研究所マーモセット研究部の佐々木えりか部長、理化学研究所脳神経科学研究センター高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダーらの研究チームは、霊長類コモン・マーモセットのための手を使って道具を操作する運動課題用装置と課題の訓練方法を開発し、2光子顕微鏡という脳の比較的深い層まで生きたまま“見る”ことができる顕微鏡で運動中のマーモセット大脳皮質から運動に関連した神経細胞の活動を計測する事に成功しました。

マーモセットはヒトと似た生体機能を持っており、遺伝子改変動物を含む疾患モデルの開発が積極的に進められています。今回の開発によって、認知や行動などヒトの高次脳機能の神経ネットワーク基盤の理解が大きく進展すると考えられます。

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度より文部科学省から移管)の研究開発課題「脳科学研究に有用性の高い遺伝子改変マーモセットラインの創出と普及」として行われました。本研究の成果は5月14日にNature Communications誌に掲載されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 578KB]をご覧下さい。

(2018/5/15)

反復配列RNAの異常発現が膵癌発生を促進するメカニズムをマウスで確認

膵癌は抗癌治療の発展した現在においても予後不良であり、難治癌の代表的存在として知られています。この発癌の過程において、単純な塩基配列の繰り返しで構成される「反復配列RNA」と呼ばれるタンパク質情報を持たないRNA(ノンコーディングRNA)が、癌になる前段階から異常に発現していることが明らかになってきました。

東京大学医学部附属病院 消化器内科の岸川孝弘(留学中)、大塚基之 講師、小池和彦 教授らの研究グループは、以前、マウスの膵臓の良性腫瘍から樹立した細胞を用いて研究を行い、これまで機能を持たないと考えられてきた反復配列RNAの一種であるMajSAT RNAと呼ばれる「サテライト配列由来のRNA」がYBX1というタンパク質と結合すると、YBX1のもつDNAダメージ修復機能を阻害して、突然変異の蓄積を促進、細胞を癌化させることを見出しました(Kishikawa et al. Nat Commun 2016;7:13006)。

今回は、新たにMajSAT RNAを恒常的に発現するマウスを作製し、このマウスで膵臓に炎症を惹起したところ、膵組織内のDNAダメージが増え、さらに膵特異的Kras遺伝子変異マウスとの交配で膵臓の前癌病態の形成が促進されることを確認しました。これらの結果は、以前に、細胞レベルの検討で見いだした、反復配列RNAが「細胞内変異原」として機能し、発癌プロセスを進める重大な働きをしていることを生体でも確認したことになり、発癌機序の解明、発癌予防という観点からも重要な成果であるといえます。

本研究成果は、日本時間5月10日にMolecular Cancer Research(Online First)にて発表されます。なお、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)次世代がん医療創生研究事業「次世代の診断・治療・予防法の創生をめざした膵がん特異的リピートRNAの新規探索と応用」、「血中反復配列RNAの高感度測定による癌の早期診断と囲い込み法の開発」および文部科学省科学研究費補助金等の支援により行われました。

PDFリリース文書[PDF:684KB](東大病院HP掲載)

(2018/5/11)

J-ADNI研究によりアルツハイマー病早期段階(軽度認知障害)の進行過程を解明

高齢化とともに本邦で急増しているアルツハイマー病(AD)の根本治療薬開発は急務です。 今後の予防・治療の対象として重要な軽度認知障害(MCI)などの早期段階を、画像診断やバイオマーカーを用いて精密に評価するAlzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)研究が米国で進み、本邦でもJ-ADNI研究が推進されてきました。 J-ADNI研究の主任研究者を務める東京大学大学院医学系研究科の岩坪威教授らのチームは、今回J-ADNIの全結果を詳細に解析し、アミロイドPET画像法などの最新技術によって診断された、ADを原因とするMCIについて、その症状や進行速度などの特徴が米国ADNIのMCIに極めて類似していることを明らかにしました。 J-ADNI研究では全国で総数537例、うちMCI 234例が3年間にわたり追跡され、今回米国ADNIチームと共同でデータの比較解析が行われました。 MCIからADへの進行過程の自然経過に日本人と欧米人で高い共通性が示され、AD根本治療薬の治験においても、認知症期よりもまだ進行のスピードが遅いMCIなどの早期段階で、治療薬の効果を精密に評価できる技術が確立しました。 これにより本邦のADの予防・治療薬開発が加速されるものと期待されます。

※詳細はPDFこちら[PDF: 373KB]をご覧下さい。

(2018/5/10)

B型肝炎ワクチンの効果に影響を与える
  ~ HLA-DRB1-DQB1ハプロタイプとBTNL2遺伝子」 ~

世界の180カ国以上でB型肝炎ウイルス(HBV)に対してB型肝炎ワクチン(HBワクチン)接種が行われている。 HBワクチンの1つであるビームゲンはHBVの遺伝子型C由来であり、日本で主に使用されてきた。 しかしビームゲン接種者のうち、約10%はその中和抗体であるHBs抗体を十分に獲得できないという問題があった。 国立国際医療研究センターを研究代表施設とする多施設共同研究において、成人日本人1,193例を対象としたゲノムワイドSNPタイピングを実施し、ワクチン低反応群(107例)、ワクチン中反応群(351例)、ワクチン高反応群(735例)の3群に分けてゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。 ワクチン低反応群と高反応群を比較した結果、HLA class III領域に存在するBTNL2遺伝子が有意な関連を示した。 一方で、3群を比較すると、HLA class II領域に存在するDRB1-DQB1遺伝子とDPB1遺伝子がそれぞれワクチン応答性に関連することを明らかにした。 次に、ゲノムワイドSNPタイピングデータを用いてHLA imputationを実施し、HLAアリルおよびハプロタイプとHBワクチン効果の関連を詳細に解析した。 HLAアリルおよびハプロタイプの頻度をHBワクチン低反応群とB型慢性肝炎患者群で比較した結果、HBワクチン応答性に特異的に関わるDRB1-DQB1ハプロタイプが存在することを見出した。 さらにHBワクチン高反応群と健常対照群について同様の比較をした結果、HLA class II遺伝子(DR-DQ、DP)はワクチン高反応に有意な関連を示さなかった。 ワクチン高反応群と低反応群のGWASでBTNL2遺伝子が検出されたことから、BTNL2遺伝子はワクチン高反応に関連すると考えられる。 本研究により特定のHLA-DR-DQ分子によるHBs抗原の認識(ワクチン低反応)、およびBTNL2分子によるT細胞やB細胞の活性制御(ワクチン高反応)がHBワクチンの効果に重要な役割を果たすことが明らかとなった。 本研究の成果をもとに国際共同研究を進めることで、ユニバーサルワクチネーションが行われている日本やその他の国において、HBワクチンの適正かつ効率的な使用方法の確立が期待できる。
本研究成果は、米国日時3月14日にHepatology(オンライン版)に掲載された。

※詳細はPDFこちら[PDF: 276KB]をご覧下さい。

(2018/4/5)