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広報・プレスリリース最新情報(2016年(平成28年))

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糖尿病診療の質を大規模レセプトデータで評価
  ―ガイドラインで推奨される年1回の網膜症検査実施率は36%―

糖尿病は失明や人工透析導入の原因の上位を占めるため、糖尿病の適切な診療および合併症の予防は喫緊の課題になっています。 東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野の小林廉毅教授と田中宏和(大学院生)らの研究グループは、レセプト(診療報酬請求明細書)データベースを用い、診療行為や受診頻度、糖尿病治療薬の処方などの記録を用いてデータの精度を高めて分析することで、これまでにない大規模かつ高い精度で糖尿病診療のプロセス評価を行うことを可能としました。

この研究の結果、組合管掌健康保険に加入し、2010年度に糖尿病治療薬の処方を受け、定期受診していた糖尿病患者7,464人において、翌年度のHbA1c検査や血中脂質検査の実施率は90%以上と高かったものの、日本糖尿病学会による糖尿病診療ガイドラインで推奨される年1回以上の糖尿病網膜症の検査を受けた者の割合は35.6%と低かったことが明らかになりました。 この割合は欧米の同様の報告に比べても低い数値です。また、治療を中断した患者の割合は6.4%でした。

糖尿病患者が継続して糖尿病診療を受け続けられるための取り組み(受診勧奨)が行われていますが、糖尿病診療の質の向上には糖尿病患者への受診勧奨だけでなく、勤労層が受診しやすい環境の整備、診療ガイドラインの普及、糖尿病を診療する医師と眼科医との連携推進などが重要であると考えられます。

本研究はBMJ(英国医師会雑誌)とアメリカ糖尿病学会が共同で発行する国際医学雑誌 "BMJ Open Diabetes Research & Care" に2016年9月9日付けで掲載されました。 なお、本研究は同誌の"Editor's Choice"にも取り上げられました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 271KB]をご覧下さい。

(2016/9/15)

成熟した神経回路を維持する仕組みを解明
  ~自閉症の病態解明に期待~

『三つ子の魂百まで』と言われるように、発達期の経験に応じて獲得された神経回路は大人になっても維持されます。 自閉症のモデル動物では成熟した神経回路が正しく維持されないことが報告されていましたが、神経回路を維持する仕組みは謎に包まれていました。

東京女子医科大学 医学部 生理学(第一)講座の鳴島(行本)円准講師、宮田麻理子教授・講座主任、東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 生理学講座 神経生理学分野 狩野方伸教授らの研究グループは、視覚をつかさどる神経回路の発達過程を調べることで、代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)が成熟した神経回路の維持に必須であることを証明しました。

今後は神経回路を維持する仕組みが脳の機能に果たす普遍的な役割を明らかにすることで、自閉症や脳機能障害の病態理解につなげていきます。

本研究成果は、Neuron 8月18日オンライン版へ掲載されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 1.16MB]をご覧下さい。

(2016/8/18)

脳内マリファナがてんかんを抑えるしくみを解明

マリファナに含まれる精神作用物質(カンナビノイド)は脳内のカンナビノイド受容体と呼ばれる蛋白質に作用する。 しかし、もともと脳の中にはカンナビノイド受容体に作用する物質が存在し、シナプス伝達を調節するなどの生理機能を営んでいる。 このような脳内のマリファナ類似物質を“内因性カンナビノイド”と呼んでいる。

今回、東京大学大学院医学系研究科の狩野方伸教授らの研究グループは、主要な内因性カンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)がてんかんの症状であるけいれん発作を強力に抑制していることを明らかにした。 遺伝子操作によって2-AGを作ることができないようにしたマウスでけいれん発作を誘発すると、野生型のマウスに比べて重篤なけいれん発作が観察された。さらに、 2-AGが合成できないマウスではてんかんを発症するまでの時間が短くなっていた。 これらの結果は2-AGがけいれん発作だけでなく、てんかんの発症を抑える効果をもつことを示唆している。

マウスで見出された本研究の成果は、てんかんの病態の解明と新しい治療法につながる可能性がある。 本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」(平成27年度に文部科学省より移管)および科学研究費補助金の助成を受けて行われた。

本研究成果は、『Cell Reports』7/21オンライン版へ掲載されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 342KB]をご覧下さい。

(2016/7/22)

化学の力で見たい細胞だけを光らせる
  ~遺伝学・脳科学に有用な画期的技術の開発~

レポーター遺伝子とは、目的遺伝子の発現、またその発現部位を容易に判別するために、目的遺伝子に組み換える別の遺伝子のことです。 LacZは最も汎用されているレポーター遺伝子の一つで、LacZを導入された細胞は細胞内でβ-ガラクトシダーゼという酵素を発現します。 これまで、LacZ発現細胞の染色には、β-ガラクトシダーゼと反応して青い色素を生成するX-Galという発色基質が使用されてきましたが、発色には固定処理が必要であり、LacZ発現細胞を生かしたまま可視化することはできませんでした。 また、β-ガラクトシダーゼの酵素活性によって蛍光性になる蛍光プローブも開発されてきましたが、細胞膜を透過しない、酵素反応生成物が細胞外に漏出するといった問題があり、LacZ発現細胞のみを生きたまま検出・特定することは困難でした。

東京大学大学院薬学系研究科/医学系研究科(兼担)浦野泰照教授らの研究グループは、β-ガラクトシダーゼとの酵素反応によって蛍光性になると同時に細胞内のさまざまな分子に結合する蛍光プローブの開発に成功しました。 開発した蛍光プローブを用いることで、LacZ発現細胞の1細胞レベルでの蛍光検出が可能であること、また蛍光検出したLacZ発現細胞における電気生理学実験にも成功しました。 本蛍光プローブを用いることで、今後、これまで困難であったさまざまな生命現象の解明に役立つことが期待できます。

本研究成果は、「Angewandte Chemie International Edition」(7月8日オンライン版)に掲載されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 260KB]をご覧下さい。

(2016/7/11)

経口AMPA受容体拮抗剤による筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療法確立
  ~孤発性ALS分子病態モデルマウスへの長期投与試験~

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は主に中高年に発症する、進行性の筋力低下や筋萎縮を特徴とし、健康人を数年の内に呼吸筋麻痺により死に至らしめる神経難病で、この経過を遅らせる有効な治療法はありません。 これまで、国際医療福祉大学臨床医学研究センター 郭伸特任教授(東京大学大学院医学系研究科 講師)らの研究グループは、ADAR2という酵素が低下することで、過剰な細胞内カルシウム流入を引き起こすことによりALSの大多数を占める遺伝性のない孤発性ALSの運動ニューロン死に関与していることを突き止めていました。

今回、郭伸特任教授と東京大学大学院医学系研究科赤松恵特任研究員らの研究グループは、この過剰なカルシウム流入を抑える作用が期待される、既存の抗てんかん薬であるペランパネル(製品名「フィコンパ」エーザイ株式会社)をALSモデルマウスに90日間連続で経口投与したところ運動機能低下の進行、及びその原因となる運動ニューロンの変性脱落が食い止められ、しかも、運動ニューロンで引き起こされているALSに特異的なTDP-43タンパクの細胞内局在の異常(TDP-43病理)が回復・正常化しました。 また、発症前のみならず発症後に投与した場合でも、運動ニューロン死による症状の進行が抑えられました。

モデルマウスでの結果ではありますが、ペランパネルは既に承認されているてんかん治療薬であり、ヒトに換算した場合にてんかん治療に要する用量以下でマウスに有効性が確認出来たことから、臨床応用へのハードルも低いと考えられ、ALSの特異的治療法になるものと期待されます。

以上の成果は、「Scientific Reports」(6月28日オンライン版)に掲載されました。
なお、本研究は一般財団法人日本ALS協会の「IBCグラント」研究奨励金、および公益財団法人難病医学研究財団研究奨励助成金、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて行われました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 385KB]をご覧下さい。

(2016/6/29)

骨が免疫力を高める
  ~感染から体を守るためには骨を作る細胞が重要~

敗血症は細菌感染により引き起こされる全身に及ぶ炎症状態です。 発症早期には体を守るために免疫細胞から炎症性サイトカインが大量に放出されますが、その時期を過ぎると新たな感染症にかかりやすくなります。 その原因として、末梢血中の一部の免疫細胞が減少するため免疫力低下により感染しやすい状態が長期間続くことが考えられます。 従って、発症早期の治療に加えて、発症後の免疫力低下のメカニズムを解明し、新たな治療法を開発することで、生存率の大幅な改善が期待できます。

このたび、東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 免疫学分野の寺島 明日香研究員(当時)と、岡本 一男助教(当時)、高柳 広教授らの研究グループは、敗血症のモデルマウスを用いて、急性炎症反応によって免疫抑制状態が生じるメカニズムを検討しました。 その結果、敗血症モデルマウスでは急激に骨量が減少しており、骨髄におけるリンパ球の初期分化が障害されていることを見出しました。 骨を作る役割を持つ骨芽細胞は、免疫細胞分化に重要なサイトカインIL-7を産生し、T細胞やB細胞のもととなるリンパ球共通前駆細胞を維持することが分かりました。 敗血症では、感染症の防御に重要なリンパ球を維持する骨芽細胞が減少するため、免疫力低下につながると考えられます。

本研究は日本学術振興会 科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業「高柳オステオネットワークプロジェクト」(研究総括:高柳 広)などの一環で行なわれました。

本研究成果は2016年6月14日(米国東部夏時間)に国際科学誌「Immunity」オンライン版で公開されました。

※詳細はPDFこちら[PDF: 415KB]をご覧下さい。

(2016/6/15)

膵癌の早期診断に役立つ血中の反復配列RNA の高感度測定法を開発

日本でも罹患数が増え続けている膵癌は、早期診断が現状では困難で高度進行状態で見つかることの多い難治性癌の代表です。 このため、膵癌の早期発見を可能にする、検診レベルで導入できるバイオマーカーの開発が急がれています。 東京大学医学部附属病院 消化器内科の岸川孝弘 特任臨床医、大塚基之 助教(特任講師(病院))、小池和彦 教授は、膵癌組織中で多量に発現していることがマサチューセッツ総合病院の研究グループから以前に報告されたものの、簡便な定量が困難であったHSATII RNAと呼ばれる反復配列RNAを、血清から簡便かつ高感度に測定する方法を世界で初めて開発しました。 患者血清を用いた検討により、本方法を用いた血中HSATII RNA の測定は、膵癌患者の早期診断だけでなく前癌病態の囲い込みにも有用である可能性が示されました。 本成果は、今後 さらに多数の検体での検証を重ねることにより、採血による膵癌の簡便な早期診断・前癌病態の囲い込みの実現に道を開く、極めて重要な成果といえます。

なお、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」、日本学術振興会・科学研究費補助金、国際科学技術振興財団などの支援によって行われたものであり、日本時間6月2日に米国科学雑誌JCI Insight にて発表されました。

PDFリリース文書[PDF:320KB](東大病院HP掲載)

(2016/6/3)

転写因子STAT3を介した子宮内膜の再構築と子宮の再生の仕組み
  ~マウス子宮の脱細胞組織移植モデルの新規確立~

子宮では、月経や分娩のあとに次の妊娠に向けてダイナミックに組織が再構築・再生されますが、この子宮が持つ組織の再生の仕組みや過程はこれまでよくわかっていませんでした。 細胞の周りで細胞を支持したり細胞の足場となって働きを調節したりしている「細胞外基質」を温存したまま細胞だけを破壊する、「脱細胞化」という技術が新たな再生医療技術として最近注目されています。 東京大学医学部附属病院の廣田泰講師らは、摘出したマウス子宮に脱細胞化の処置を行って細胞を取り除いた脱細胞化子宮を作製しました。 次に、あらかじめ子宮を部分切除する処置を行った別のマウスに対して、脱細胞化子宮の組織片を移植する手術を行いました。 脱細胞化子宮組織の移植部位では1か月後に完全に子宮が再生し、移植部位での妊娠が可能になりました。 またこの子宮の再生には転写因子のSTAT3という物質が関与していることが、遺伝子改変マウスを用いた研究で明らかとなりました。 本研究により、子宮の再構築の生理的な仕組みや子宮再生の応用研究に役立つ新しい動物モデルを確立しました。 この脱細胞化技術は、将来的には子宮の異常で起こる不妊症の新しい治療へ応用されることが期待されます。

PDFリリース文書[PDF:1.38MB](東大病院HP掲載)

(2016/6/3)

食道癌診断におけるDPP-IV活性検出プローブの有用性

東京大学大学院薬学系研究科・医学系研究科の浦野泰照教授らの研究グループは、癌細胞で活性が上昇している特定のタンパク質分解酵素によって蛍光性へと変化する試薬(蛍光プローブ)を開発し、癌モデル動物でその機能を証明してきました。 しかし、ヒトの癌の性質は極めて多様であり、実際のヒト組織で真に有効であるかどうかはわかりませんでした。 今回、東京大学大学院医学系研究科消化管外科学瀬戸泰之教授らと共同して、食道扁平上皮癌に対して有用な蛍光試薬の開発を行いました。 まず、さまざまな酵素をターゲットとした蛍光試薬のライブラリーを作成し、ヒト生検検体を用いてスクリーニングを行ったところ、DPP-IV活性検出プローブが癌特異性を示すことを明らかにしました。 そこで本プローブを、ヒト外科手術において摘出した検体や内視鏡治療において摘出した検体にスプレーしたところ、わずか数分で食道癌を選択的に光らせ、周囲の正常組織と識別できることを明らかにしました。 食道癌は、通常の内視鏡観察では早期発見が困難であることが知られており、本手法の活用によって早期食道癌の診断率の向上が期待できます。 現在、本蛍光試薬の臨床医薬品としての市販を目指し、プローブの有用性を更に多数の症例で実証するとともに、体内使用を目指して、東京大学エッジキャピタル(UTEC)からの投資を受けた五稜化薬株式会社と共同で臨床試験の適用に向けた準備を進めています。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)「疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出」研究開発領域(研究開発総括:清水孝雄)における研究開発課題「臨床検体を用いた疾患部位特異的な代謝活性のライブイメージング探索技法の確立と創薬への応用」(研究開発代表者:浦野泰照)の一環で行われました。 なお、本研究開発領域は、平成27年4月の日本医療研究開発機構の発足に伴い、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)より移管されたものです。

PDFリリース文書[PDF:1.00MB](東大病院HP掲載)

(2016/6/3)

痛みを支えるKIF分子モーター

全45種類以上のKIF分子モーターはヒトのすべての細胞内において、ミクロの貨物列車のような細胞内物質輸送の鍵を担っている機能分子ですが、その機能的意義はまだ少ししかわかっていません。 今回、東京大学大学院医学系研究科の廣川信隆特任教授、田中庸介助手らの研究グループは、分子モーターKIF1Aの遺伝子機能を半分失ったマウスを作出し、その表現型を調べたところ、熱さ・痛みの感覚に進行性の障害があることがわかりました。 さらにその詳細な分子機構として、KIF1Aが末梢の一次感覚ニューロンの軸索末端へと神経栄養因子受容体TrkAの載ったオルガネラを輸送することで、感覚ニューロンの生存率ならびに炎症の際に特に問題となる神経栄養因子依存性の疼痛増強メカニズムを統御しているというメカニズムを発見しました。 このことは、生命の根源的な機能を担うKIF分子モーターの一次感覚ニューロンにおける新しい生理機能・臨床的意義をはじめて解明するとともに、受容体型チロシンキナーゼのシグナル伝達制御の観点から、疼痛制御等の分野における新たな創薬ターゲットとしてのKIF系の可能性を拓くものです。

本研究成果は、「Neuron」(6月2日オンライン版)に掲載されました。

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(2016/6/3)

脳の神経活動の空間パターンは脳血流のパターンに写し取られる
  ~安静時脳活動の詳細な時空間構造を神経発火と脳血流の両面から解明~

九州大学大学院医学研究院・東京大学大学院医学系研究科の大木研一教授、東京大学大学院医学系研究科の松井鉄平助教、九州大学大学院医学研究院の村上知成博士課程3年生らの研究グループは、安静時における脳活動の詳細な時空間構造、更にそれが脳血流に変換される様子を観察することに成功しました。 行動していない状態の動物で自発的に起きる安静時脳活動は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)により脳血流信号でも観察できるため近年活発に研究され、脳疾患診断などへの応用が期待されています。 これまで、安静時における神経活動の詳細や、それがどのように脳血流信号に変換されているのかは不明でした。 今回の研究では、神経活動を可視化した遺伝子改変マウスで神経活動と脳血流信号を同時計測するシステムを開発し、安静時脳活動の詳細な時空間パターンと、それが脳血流へ反映される過程を解明しました。 この知見は、安静時脳活動を利用した脳のネットワーク構造の解明や脳疾患診断の技術開発へ繋がることが期待されます。

本研究結果は2016年5月16日(月)午後3時(米国東部時間)に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」にオンライン発表されました。

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(2016/5/17)

不整脈と生活習慣病の関連性を解析する臨床研究を開始
  ~脈の揺らぎを自己管理するスマホアプリを公開~

このたび、東京大学と株式会社NTTドコモとの社会連携講座として設置された東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター健康空間情報学講座では、Apple社のResearchKitを用いて、脈の揺らぎを管理・記録するスマホアプリ「HearTily(ハーティリー)」を開発し、成人(20歳以上)を対象に、このアプリを用いた不整脈と生活習慣病の関連性を解析する臨床研究を開始しました。

「HearTily」はスマートフォンのカメラを活用して脈を検知し、脈拍を定期的に収集することによって脈の揺らぎを簡単に測定することができるアプリです。 一般的に初期の不整脈は短い時間しか生じず、また数日に一回しか生じないため、健康診断時の心電図では捉えることが難しいものも多く存在します。

本研究では、参加者に脈の揺らぎを自己管理できるスマホアプリを提供し、日常生活内で1日1回、脈拍を記録していただきます。 継続的に記録していただく脈拍の情報とスマートフォン内に記録される運動量等の生活情報を組み合わせた大規模なデータを解析することによって、不整脈と生活習慣病の関連性を調べることができるので、不整脈の発生を予測することへの応用に役立ててまいります。

PDFリリース文書[PDF:436KB](東大病院HP掲載)

(2016/4/22)

印刷業で多発した職業性胆管がんと関連する、発がん性候補物質の胆汁排泄を発見

平成24年、塩素系有機洗浄剤を大量に使用してきた印刷工場の従業員がきわめて高頻度で胆管がんを発症していることが報告され、大きな社会問題となりました。 労働環境の調査結果などから、塩素系有機洗浄剤の主成分であったジクロロプロパンという工業用化学物質が原因物質として強く疑われています。 しかしながら、ジクロロプロパンへの大量ばく露と胆管がん発症とをつなぐ分子機序は未解明でした。

東京大学医学部附属病院薬剤部の豊田優 特任助教、高田龍平 講師、鈴木洋史 教授は、質量分析装置を駆使した胆汁の網羅的成分分析や肝臓の大部分がヒト肝細胞に置換されたマウスを用いた実験などから、ジクロロプロパンから生じた発がん性候補物質が胆汁排泄されることを見出しました。 本成果は、塩素系有機溶剤への大量ばく露と職業性胆管がんの発症とを結びつける重要な発見です。 胆管がんの発がん機序が解明されたわけではありませんが、肝臓で生じた反応性代謝物が胆汁中に排泄される結果、胆管での発がんリスクが高まる可能性を新たに提唱するという点で、本報告は将来のがん研究の発展に貢献する重要な成果であると考えられます。

なお、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」、ならびに、日本学術振興会・科学研究費補助金などの支援によって行われたものであり、日本時間4月18日に英国科学雑誌Scientific Reportsにて発表されました。

PDFリリース文書[PDF:328KB](東大病院HP掲載)

(2016/4/20)

自閉症を脳回路から見分ける先端人工知能技術を開発
  ~人種を超えたバイオマーカー・自閉症の実体:脳回路の変位~

東京大学医学部附属病院の八幡憲明研究員、笠井清登教授、(株)国際電気通信基礎技術研究所・脳情報通信総合研究所の森本淳室長、川人光男所長、昭和大学発達障害医療研究所の橋本龍一郎客員教授、加藤進昌所長らのグループは、最先端の人工知能技術を開発して、自閉スペクトラム症(ASD)を脳回路から見分けるバイオマーカーを世界に先駆けて発見しました。

本研究成果は4月14日にNature Communications 誌・オンライン版に掲載されました。

詳細は、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のホームページをご覧ください。

(2016/4/20)